階段のぼりかけ

ただのチャットモンチーファンブログです

『チャットモンチー レストラン スープ』(DVD / 2008)

 あけましておめでとうございます (遅)。今年もよろしくお願いします。

 

 という訳で前回に引き続き、レストランシリーズの感想いきますね。映像作品2本目である今作には、2007年7月7日に行われた日比谷野音でのライブが収録されています。2007年の7月というと、まだ『生命力』はおろか、『橙』すらリリースされていません (ただし、『橙』のリリース告知自体はすでにあったようだ)。つまり、『耳鳴り』期から『生命力』期に移っている間の、貴重な?瞬間を捉えたライブ映像になっているのです。

 

チャットモンチー レストラン スープ [DVD]

 

 次作『〜メインディッシュ』を見ると顕著に差が分かりますが (特にMC)、まだライブの仕切りはあまり洗練されていません (まあチャットの映像作品って、どれも結構長いMCが入ってるけどね)。けれど、それがライブの印象にマイナスかというとそんなことはなく、尖った演奏と相まって真剣さを感じます。

 

 要するにこの『〜スープ』の何がおすすめかというと、冒頭にも書いた通り『耳鳴り』〜『生命力』間の、ひたすら尖っている時期と、ポップに開けていく時期が、ちょうどいい塩梅で混ざったライブが見れるというところなのですね。この後の『〜メインディッシュ』や『WASH THE LIVEHOUSE』なんかはもう堂々たるステージングになるので、初期のころを見たことがない人には新鮮に映るかもしれません (ワタシもそうだった気がする)。

 

 あと、セットリストにも触れなければならないでしょう。チャットはどの時期でも新旧、シングル / アルバム曲問わずに織り交ぜたセットリストで演ってくれてますが、それでも“手の中の残り日”や『耳鳴り』のアルバム曲を映像で見れるのは嬉しいです。あと、“風”が聴けるよ!これ超大事。そして、この日披露された“恋愛スピリッツ”や“ツマサキ”は名演です。見るべし。

 

 ライブについて概略を書くならこんな感じです。あとはぐだぐだと感想を書きたいと思います。でもそれだけだと何かアレなので、どの曲で何のギターを使ったか、というテーマを設けたいと思います。というのもワタシはえっちゃん (橋本絵莉子) のことをギターフリークだと思っているので、そこに注目してみると面白いのではないかと思ったわけです。まあ単純に、(誰のライブであっても) 何のギターを使ったかを見るのが好きなだけなんですけどねっ。以下、そこそこ長文です。

 

 

OP

 

 蝉の声がずーっと聞こえる中、BGMとして鳴っているのは『とび魚のバタフライ / 世界が終わる夜に』のc/w曲“風”ですね。野外なのでフツーに明るい中どうやって入場してくるのかと思えば、大きなアクションもなくヌーッと出てくるという。いつも通りえっちゃんが右手を上げてBGMが止まり、ライブはスタート。

 

女子たちに明日はない

 

 使用ギターはTVイエローのレスポール。同曲のMVでも使っていたギターです。3人のユニゾンで始まるこの曲はライブのオープナーとして迫力充分でしょう。間奏やリフでのフィードバックがナイスフィードバックです。えっちゃんの、特にライブで聴かせるフィードバックはどれもかっこいいですね。

 

ハナノユメ〜手の中の残り日

 

 ドラムロールの間にギターを交換し、このパートではサンバーストのテレキャスターを使用。この時点でのメインギターですね。ギターストラップがドクロイカツいです。そしてやっぱりテレキャスレスポールのフィードバックは全然違いますね。意外とテレキャスのほうがマイルドな感じがします。

 

さよならGood bye〜ウィークエンドのまぼろし〜ツマサキ

 

 短いMCを経て、アルバム曲ゾーンへ。使用ギターは同じくテレキャスター。今更ながら、このライブの時点ではまだ『生命力』がリリースされていないことに気づく (遅っ)。しかし、アルバムで聴いてもライブで聴いても、“さよならGood bye”のど頭のメロディ、“たーしかに”の「た」の音はスリリングですね。躊躇したらかえって外しそうです。

 そして“ウィークエンドのまぼろし”。“さよならGood bye”から続くのはアルバムの曲順通りですが、こうして聴くと初期チャットモンチーはキメを多用するよなあと思います。3ピースとしては常套ともいえるアレンジですが、『生命力』を境に減っていく気がしますね。どう変わっていったのかはまた今度考えますが。

 このパートを占めるのは『chatmonchy has come』からの“ツマサキ”でした。かなり盤石の演奏。しかしギターソロは音源とフレーズを変えており、さらにモジュレーション系のエフェクターを掛けています。ソロ終わりのブレイクで、サッとボリュームを絞るのにワタシはツボりました。

 

バスロマンス〜プラズマ〜終わりなきBGM

 

 七夕にちなんだMCを挟んで、“バスロマンス”から3連打。このパートもギターはテレキャスター。“プラズマ”はライブで聴くとすごい盛り上がりますね。ソロ以降の押せ押せ展開が格好いいです。けれど押せ押せの一辺倒ではなく、しっかりアウトロで緩めてみせるのがチャットモンチーダイナミクスなのでしょう。チャットモンチーのアレンジって、構築美に溢れていますよね!(誰に同意を求めてるんだ。)

 

 ワタシの大好きな“終わりなきBGM”も、変拍子抜けで加速するライブならではの演奏。しかし、キメもそうですが涼しい顔してよく合わせますね。簡単そうで簡単ではないアレンジを、さも簡単そうに合わせるのが彼女たちです。ここでもソロはモジュレーション系のエフェクターを掛けています。

 

恋愛スピリッツ〜どなる、でんわ、どしゃぶり

 

 えっちゃん作詞のこの2曲では再びTVイエローのレスポールを使用。あんまり順位づけは好きじゃないのですが、それでもこの“恋愛スピリッツ”は映像化された“恋愛スピリッツ”の中でベストアクトでしょう (ちなみに対抗は『WASH THE LIVEHOUSE ‘09@Zepp Tokyo』での演奏)。イントロのアカペラをマイクを通さずに歌うというスペシャル版で、しかもその歌声の力強さときたら。えっちゃんの声はインタビューとかで聞くと小さいのですが、いざ歌うと凄い声が通るんですよね。メロディーが高く飛ぶ部分も声は裏返らず、けれどその一方で繊細に震える声はなんというか、もうただ愛おしいです (今日一番のヤバい感想)。

 とか熱っぽく書きましたが、アカペラパートの最後で結構早い段階からピックアップセレクターに手をやってタイミングを気にしているのがえっちゃんらしいなと思ったり。そして演奏に入る前、クミコン (高橋久美子) のうなずく顔がすごくいい表情。あと、間奏に入る前の“私を捨ててあの人つかまえるの”を「あたし」で歌っていてすごいエモーション (ただしここだけ)。これはインディーズ版での発音なので、思わず出てしまったのでしょうか。

 勝手な所感ですが“恋愛スピリッツ”はたまに、曲のほうに歌や演奏が振り回されている時があるような気がしていて、それはそれで面白いのですが、この日比谷野音での演奏は歌や演奏が曲の情緒を乗りこなしており、素晴らしいアクトになっているような気がします。アウトロまで凄まじい集中力です。

 

とび魚のバタフライ

 

 持ち替えてテレキャスター。ゲストとして、カラフルな衣装を纏ったフラダンサーのおねえさん達が登場。まさにスペシャル、ダンスも見てて楽しい。が、ワタシはそれ以上にステージ後ろの照明装置が想像以上にカラフルな明滅ができることに驚きました。「お前そんなにできるやつだったのか!?」的なビックリ。ミラーボールも相まってフルパワーな演出です。

 

MC

 

 既にここまでで12曲もやってた。という訳で一旦長いブレイク。七夕なので、3人の願い事を観客が叶えるという企画が行われます。ただし、ぐだぐだです。

 

一等星になれなかった君へ〜惚たる蛍

 

 MCタイムの間も抱えっぱなしだったので、使用ギターは変わらずテレキャスター。そして日比谷野音もだいぶ暗くなったので、ここはそのロケーションにぴったりな星の歌ゾーン。ただし曇っていたのが残念

 

世界が終わる夜に

 

 ここで初めて赤いレスポールスペシャルが登場、半音下げだからでしょうか。ストラップはFenderのベタなやつですね。今更気づくのもアレですが、あっこちゃん (福岡晃子) はベースを一切持ち替えないですね。

 

恋の煙〜湯気

 

 ラストスパートを告げるMCを経て、アッパーな2曲を立て続けに披露。使用ギターはTVイエローのレスポール。ワタシ的には武道館の“湯気”が好きなんですが、この日の“湯気”はちょっと別人かってくらい印象が違う“湯気”です。最も顕著に尖っている一曲かもしれません。歌い回しが苦しそうでかっこいいです。

 

シャングリラ

 

 そして最後はこの日最も使われたテレキャスター。本編ラストらしく銀テープ発射があるのですが、タイミングが1拍ずれてます (勿体ない!)。演出はミラーボール全開かつ、ライトがカラフルに明滅してとても綺麗。これにて本編は終了、一旦3人は捌けます。

 

アンコール

 

 3人とも着替えてから再登場。夏シーズングッズのTシャツなのでしょう。ちょっとこれはいつのグッズなのか分かりませんでした。

 

 

 アンコール最初の使用ギターはサンバーストのストラトキャスター。後にも先にもこの1曲にしか出てきません。冒頭にも書きましたが、もうこの曲が聴けるだけでワタシは感涙です (大好きなのです)。大サビの一番最後で、えっちゃんが一瞬だけ笑いながら歌うんですが、これが最高です。

 『鳴るほど』のドキュメンタリーで「真剣に歌ってたから笑わなかった」旨の発言をえっちゃんがするシーンがあるんですが、それが象徴するように、チャットのライブで笑顔の印象はワタシにはあまりありません (3人ともにね)。それだけ真剣に演奏しているってことだと思うんですが、それだけにたまーに出る笑顔は印象深いのです。武道館の“湯気”とか、“東京ハチミツオーケストラ”とか。あ、いっこ訂正します。わりかしクミコン (高橋久美子) の笑顔はよく見る気がします。

 

 話が逸れました。そんな訳で“風”での笑顔もいい笑顔なんですが、この曲の、しかも最後ってのが絶妙のタイミングでこっちまで笑えてきます。やっぱりチャットのツボってそこにあると思うんですよね!張り詰めて張り詰めて、でも最後まで切ることはできなかったけれど、かわりになぜか笑えてくるところのことです (意味不明だなあ)。

 

東京ハチミツオーケストラ

 

 この曲はいつもテレキャスターですね。なのでこの日ももちろんテレキャスター。イントロであっこちゃんが喋ってる間に、クミコンが叩いてるドラムのパターンがかっこいいです (でも多分曲中にはないパターンだ)。重要なライブの要所要所で演奏されるこの曲が、この七夕ライブの最後を飾りました。3人が最後中央に集まって挨拶をし、ライブが終わりました。全20曲。

 

 

 

 …これにて、ぐだぐだな感想も終了です。ついに2018年という完結の年が来てしまいましたが、このブログはあまり変わらずこんな感じで長ったらしくいこうと思います。ふらっとこのブログにたどり着いてしまった方、ありがとうございます。最後はBGMの“マイネオムーン イズ ヒア”の感想を書いて〆ます。それでは。

 

 

 

全曲ひとこと感想コーナー

 

“マイネオムーン イズ ヒア”

 

 作詞作曲は前作“お調子者”に引き続きえっちゃん。そしてえっちゃんの作詞で「ネオムーン (たぶん新月の意味)」とくると、『生命力』収録、アマチュア時代からある“ミカヅキ”を連想しちゃいますね。なんでもミカヅキはえっちゃんが高校2年の時に作った曲だそうで。ちなみにソースはチャットHPに昔あった『生命力』全曲解説文です。

 そんな訳で“ミカヅキ”とのリンクするところも多い歌詞ですが、体言止め (と倒置法) が多用された歌詞から受ける印象はやっぱり“ミカヅキ”と同じで無力感だったりします。あ、それで思い出した。3人が『ギャラリー茶友』で、レストランシリーズのBGMとか“風”が疲れてるときにいいって言ってたけど、絶対逆だと思うんだよねえ。ワタシはむしろ疲れてない時に聴いて浸りたいです。アレンジは軽〜い感じですが。

 

 そして抽象度の高い歌詞だと思うけど、橋本絵莉子波多野裕文の“飛翔”と同じで、実際は限りなく具体性が高い内容だと思います。というより、感じたことをとりとめもなく書くとこうなるのでしょう。「ネオムーン (≒ミカヅキ)」とは絶対的な存在で、憧れの対象であると同時に敵わない (と感じる) 対象でもあるのです。それに照らされることとは自分の小ささを確認することでもあるので、そこからワタシは無力感とか喪失感を感じるのです。

 

 …え?じゃあ結局「ネオムーン」って何の比喩なのかって?それはもちろん、分かりません。というより、何でもいいのです。あの萩原朔太郎も『月に吠える』の序文で、詩の表面に現れる「ことがら」はどうでもよくて (意訳)、そこから受けるイメージ・感情のほうが大事 (かなり意訳) だと言っています。だから、大きい存在に出会ったら自分の小ささを思い知るよね、ってことが分かればワタシにとってはそれだけでいいのです。それを言ってくれる人がいることが嬉しいのです。

 と、こんな感じで何となく言いたいことが伝わったでしょうか。だから疲れてる時はおすすめできないのですが。なーんて書いておきながらアレですが、疲れてる時は叩きのめされるのもむしろいいよねっ (そういう結論かよ)。